運ぶ科学(電気-機械エネルギー変換, モーション・コントロール, 交通システム: 電気鉄道・リニアモータ): 古関隆章

旅客輸送におけるスケジューリング

鉄道利用者の旅客時間の短縮、利便性の向上の観点から、グラフ理論、動的計画法の拡張など数理的手法を応用した鉄道旅客輸送の運行計画・運行管理計算機支援に関する検討を、鉄道技術専門の研究所や内外の鉄道事業者、他大学との協力で行っています。次世代の列車制御システム出るCBTC: 無線通信に基づく列車制御において高頻度運行と乱れに対してロバスト運行の安定性の高い「賢い列車制御」、列車運行が乱れた際の運行管理の方法を、計算機を用いて解析し、旅客視点で評価し、運転指令員を支援するシステムを構築する方法や、多彩なニーズを持つ旅客へのITを活用した情報提供により公共交通サービスの質を向上する研究に取り組んでいます。

省エネルギー運転・電気鉄道のパワーマネージメントの研究

運転計画と電気エネルギー制御との関係を外部機関との連携を深め実験も行いつつ研究しています。最適化問題の解として、省エネルギー運転法を提案し、理論的論文執筆のみならず、全国の都市鉄道や自動運転の機能を持つ地下鉄の運転へ適用し、従来比十数%の省エネルギー効果が確認できました。現在、列車自動運転の社会への提案を通じ、本研究室が提案した省エネルギー運転法の実用展開を積極的に進めています。

賢い電気機械設計と制御による電気系駆動性能向上

最高性能のリニアモータ設計のためには、三次元の磁気回路の構成が重要であり、そのためには大変時間と手間のかかる三次元数値計算が必要となります。複雑な形状の最適化には、数多くの設計パラメータの探索が必要で、効率的設計最適化方法が重要になります。本研究室ではその手法を開発し、多次元ドライブへの展開も視野に、新しいリニア同期モータを設計・製作しました。そして、それを支持する電磁吸引浮上を安定させる制御法、その磁気浮上の組合せにより位置制御性能を高めるリニアモータ制御の研究を行っています。

波力発電のための横磁束永久磁石形リニア同期発電機

永久磁石を用いたリニア同期モータは、リニアモータの中では効率が高く、軽量化・大推力が原理的に可能となるため、高精度な運動制御に適する駆動装置として工作機械分野などで応用が注目されています。Transverse-flux typeと呼ばれる横磁束形モータはこの大推力直接駆動に適したモータです。この直接駆動を生かした海洋における電気推進技術や海洋発電を想定し、(独)海洋技術研究所や日立製作所殿の協力を得て、永久磁石形横磁束形同期発電機を製作、海洋波の状況を適切に把握して発電電力最大化を狙う制御法や海上プロトタイプ試験用の発電機設計の研究を継続的に進めます。

最高品質を実現する先端的運動制御の研究

 令和元年に着任した大西助教が先導し、国内大学、オランダのアイントホーフェン工科大学との国際連携、半導体製造装置や工作機械装置メーカのエンジニアとの共同研究を通じ、データに基づくシステム同定手法、非最小位相系の振動的な逆応答を非因果的アプローチで抑制するプリアクチュエーション、繰り返し学習制御などの先進的運動制御技術を、産業界の様々な要請に応えて応用する研究を行っています。

電気の回廊