量子フォトニクス

複雑系・バイオエレクトロニクス

生命の仕組みをセンサで捉えて計算機上に再現する

 ニューロンの興奮は、イオンの移動による微視的な電位変化によって生じており、生命の活動も実は電気によって制御されています。私たちは、生体信号を高感度に捉えるセンサや医療デバイス、生命の仕組みを数理的に捉えて情報処理に活かす研究を進めています。

複雑系・バイオエレクトロニクスとは?

 神経細胞が情報を処理する仕組みを模倣する発想からニューラルネットワークが生まれ、数十年にわたる研究開発の蓄積を経て、AIの爆発的な発展と普及につながりました。単一のニューロンの機能は、数理的には比較的単純なモデルによって表現できますが、多数のニューロンの集団は極めて複雑な振る舞いを示し、それを完全に理解することは容易ではありません。しかし膨大なデータ、画像、信号などから全体的な特徴を抽出するなどの、古典的なアルゴリズムでは難しい処理がニューラルネットワークによって可能になり、ゲームAIなどに見られるようにヒトの脳を超える性能を示すケースもあります。

 次のブレークスルーにつながる新しい情報処理の方法論を生み出すために求められているのは、先端的な計測・イメージング技術によって生命現象を再び根本から捉え直し、そのメカニズムを数理的に表現するモデルを立て、それをハードウェアやソフトウェアで実現する取り組みです。ヒトには1000億個のニューロンと100兆個のシナプスがあり、個々のニューロンが電気的なシグナルを発しています。この巨大なネットワークからは、次世代のAIに繋がるヒントを豊富に得ることができるでしょう。また、これまでの神経科学は、実験室内のコントロールされた環境と条件で神経細胞の振る舞いを調べる手法が主体でしたが、ウェアラブルな高感度センサとIoT技術を組み合わせることによって、実環境において多様なデータの取得が可能になりつつあります。生体を計測する技術は、疾患の診断などの医療にも広い応用の可能性を持っています。さらには、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、ヒトの行動を数理的にモデリングして捉えることの重要性も再認識されています。

 複雑系・バイオエレクトロニクス分野では、生体の現象を計測し、その数理的な特徴を捉えて情報処理に活用し、それらの成果を医療にも応用する研究を展開しています。例えば生体に特有なゆらぎの現象を取り入れて高感度の検出を可能にする電子デバイス、ヒトの脳活動を実環境でモニタリングすることを可能にするウェアラブルセンサ、生命の仕組みを数理的に捉える理論の構築,神経系を模倣したコンピュータなどの研究が進んでいます。

 エレクトロニクスと情報処理の切り口から生命の神秘に迫る研究に、私達とともに挑戦しましょう。

 

研究室の紹介

バイオ"を"学び、バイオ"に"学ぶエレクトロニクス

生命に特有の“ゆらぎ”をキーワードに、バイオに学んだ新しいエレクトロニクスを目指しています。磁性相や強誘電相から構成される人工格子を創製し、相共存と“ゆらぎ”が引き起こす新規物性と、柔軟でしなやかなバイオ固有の機能との類縁性に関する基礎研究を行っています。

教員名:田畑仁・松井裕章・関宗俊
大学院:工学系
専攻:電気系(電気電子)
キャンパス:本郷

田畑仁 松井裕章 関宗俊

エレクトロニクスで拓く神経の計測、刺激、医療デバイス

神経活動から発生する微弱な磁場を検出できる超高感度磁気センサ、パルス磁場による神経の刺激と制御、がんの転移診断のための磁気センサなどのバイオ・医療技術の研究をAIも取り入れながら進めています。

教員名:関野正樹
大学院:工学系
専攻:電気系(電気電子)
キャンパス:本郷

関野正樹

神経模倣システム 〜神経系を模倣し、柔軟で自律的な知的情報処理システムを目指す〜

次世代脳互換AIの基盤としてのシリコン神経ネットワークを、現象論的、構築的、理論的アプローチから分野横断的に研究しています。電子回路と脳神経系モデルに興味のある方を歓迎します。

教員名:河野崇
大学院:工学系
専攻:電気系(電気電子)
キャンパス:駒場Ⅱ

河野崇

情報から捉える生命現象〜数理・情報技術によるアプローチ〜

本研究室では、生命システムにおいて情報がどのように生成・処理・活用されるかに焦点を当て、様々な定量データを理論的・情報学的アプローチと統合することで、生命システムの原理を記述する新しい理論を確立とその工学への応用を目指します。

教員名:小林徹也
大学院:工学系
専攻:電気系(電気電子)
キャンパス:駒場Ⅱ

小林徹也

複雑系ダイナミクス

実世界にあふれるダイナミックな複雑現象を数理的に研究し、工学・情報科学・バイオ・医療の諸問題にアプローチしています。

教員名:田中剛平
大学院:工学系
専攻:電気系(電気電子)
キャンパス:駒場Ⅱ

田中剛平