複雑系ダイナミクス(人工知能、数理モデリング):田中剛平

省エネルギー脳型情報処理

次世代情報処理システムを実現するためには,デバイスを微細化したり構造をコンパクトにして省エネルギー化をはかる必要があります.そこで,脳型計算システムをハードウェア上で高速かつ低消費電力で動作させることを目標とし,システムを省エネ化する数理的手法の開発に取り組んでいます.たとえば、リザバーコンピューティングに基づくアルゴリズム設計やハードウェア開発のための数理的研究,また配線の少ない高効率なニューラルネットワーク構造の探究などをおこなっています.

ネットワーク頑強性の数理

ネットワークシステムは,電力網,交通網,生体網など,至るところに見られます.ネットワークによって通常時の利便性は拡大しますが,一部の故障が全体に波及して被害を拡大するというリスクも伴います.そこで,ネットワークシステム機能の頑強性が,ネットワーク構造,ダイナミクス,要素間相互作用などにどのように依存するかを数理的に明らかにすることを目指しています.電力系統の安全性向上や感染症伝播抑止を意識して理論的研究を進めています.

機械学習および先端数理の応用

機械学習を利用して,従来は人間が担っていたタスクを効率的に行なうことができるようになってきています.そこで,まだ機械学習や数理モデリングの応用が進んでいない分野の問題を定式化し,複数の機械学習手法や数理的技術を組合せることによりそれを解決することを目指します.たとえば,有機結晶材料の構造予測にパーシステントホモロジーと機械学習を応用する研究を進めています.

医療・社会システムの数理的研究

センサーデバイスの発達により,医療・社会システムに関する豊富なデータがとれるようになってきています.そのようなデータに基づいて,従来よりも現実的な数理モデルを構築し,医療・社会分野の課題解決を目指します.とくに,アトピー性皮膚炎,感染症,前立腺がん,細胞シグナル伝達系などの数理モデリングと解析に取り組んできています.

電気の回廊