宇宙機の制御:橋本樹明

着陸機の転倒抑制制御

探査機が月や惑星に着陸する際、地面が傾いている、障害物がある、あるいは探査機に水平方向の残留速度がある場合、転倒する危険がある。初期の探査では安全な場所を選んで着陸してきたが、今後は科学的に興味のある場所など、険しい地形への着陸が求められている。これまで、着陸脚にセミアクティブ制御を導入して耐転倒性を上げる研究などを行ってきた。さらに耐転倒性を向上させるため、探査機に搭載された液体燃料の運動との干渉や、着陸脚先端パッド形状の最適化の研究などを行っていく必要がある。

探査機航法画像処理

探査機を目的とする場所へ正確に安全に誘導するためには、搭載カメラの画像を用いることが有用である。カメラ画像と地図情報をマッチングすることによる自己位置推定、画像からの障害物認識、環境認識などの研究を行っている。

多目的最適化の研究

月や惑星への着陸点を決める場合、日照条件、地球との通信可視性、地面の傾斜、科学的重要性など、様々な観点での最適化が必要である。各パラメータの重み付けは状況により変わるため、場合によっては準リアルタイムでの計算が必要で、全探索を行うことは難しい。そのため、事前に多目的最適解を求めておく、遺伝アルゴリズムなどにより準最適解を高速に探索するなどの研究を行っている。

そのほか何でも

将来の宇宙ミッションを実現するために必要な技術は日々生じている。それらのうち、宇宙機の制御や最適化に関する問題については何でもタイムリーに取り組む方針である。

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